サラリーマンの方がいいのかなとか思うときもありますけど、

そこでは得られないものがあるからここをやりたいんだと思うんですよね。

 

cafe skratta


words & photograph by esaki nariya

2011年末オープンということは、もうすぐ3年が経とうとしている。何でも3年と言うけれど、3年というのはお店にとっては決して短い時間ではない。少なくとも、思いついてからの2年間よりも長い時間。ブレることはなかったのだろうか?

 

「うん、あんまりブレないかも。でも割と性格的にもそんな何か、頑固っていうか、ここはこう1本筋を通しておきたいみたいなところもあるから、ブレずらいのかもしれない。

 

そうは言っても3年となると、常連さんが出来たり、お客さんからの要望なんていうのも出て来るかもしれない。

 

「そこは来てくれるお客さんに合せてやっていくのもひとつ、でも全部が全部聞いてたら成り立たなくなるわけで、いつもそういうところは悩みますね。揺らぐというか。でもまぁ自分次第だから、自分がこうと決めたら、もうそうしちゃいますけど、それが果たしてお客さんにとってどうなのかは分かんないですけどね」

 

自分次第。何だか簡単に言っているようだけど、でも迷ったり、悩んだりしたら、聞いてくれるだけじゃなく、ひょっとしたら答えまで代わりに出してくれるのが会社だけど、個人店はそういうわけにはいかない。誰かに相談して答えを出してくれたとしても、その答えに従ったところで、責任は全て自分に降り掛かって来るのだから。

 

「そう、やるもやらないも自分次第ですからね。そこが難しいけど、面白いのかな。自由があるっていうか。何ていうんだろう?組織の中で働くと、その組織の決まりの中で自由だけど、自分の価値観の中で自由だから、まぁそれでお金が凄い入れば、いいですけどね(笑)

「でも楽しいとか自分の生きがいっていうのは大事だと思うんですよ。ただそれだけだと生きていけないじゃないですか。どうやって生きていくのってなったら、働いてお金をもらなきゃいけないから、何か、汚いようだけど、でも無視はしちゃいけないかなと思う。」

 

帰ればサラリーマンとして働いている旦那さんを見ると余計にそうなのかもしれない。ましてもともと公務員保育士。 育児休暇も貰えて、退職金も貰える。考えれば考えるほど、どう考えても保育士の方がいいようには見えるのも確か。

 

「戻ろうと思ったら、たぶん戻って、頑張って働くと思いますけど。確かにゆれますけどね、自分の生涯を考えたときに、でも結婚もしたし、親も年とって来るし、子どもとかのこと考えるし、この先のことを考えると、やっぱりそれはサラリーマンの方がいいのかなとか思うときもありますけど、そこでは得られないものがあるからここをやりたいんだと思うんですよね。」

 

女だからというと、何だかマイナスなイメージもあるけれど、でも女だから、子どもを産むときはどうしたって出来ないことが多くなってしまうのも確かなのだ。

 

「もし子どもとか出来ちゃったら、絶対にしないと思うんですよね。もうだってそっち優先で。待ったなしの生活が続くわけで、でもわたしの理想としては、ここで妊婦になって、ここをやりながら育てたいのは理想ですけど。現実難しいんじゃないかなと思うんですよ。ここにいる間は。いいじゃんおんぶしながらやれば、とか言われますけどね(笑)」

 

それはそれで見てみたいとは思うけれど、現実的に考えれば難しいのも確か。でもそこからちょっとしたつながりがまた産まれるような気もする。このお店を始めていろいろなヒトとつながったように。

まち、ヒトって感じですね。ヒトのつながりっていうか、まぁ、わたしは、ここ2階にいるからつながりは少ないですけど。でもヒトとヒトのやり取りで成り立ってるじゃないですか。ヒトがいて、ヒトが来て、何て言うのかな、とにかくヒトのつながりは凄い感じますけど。まぁ当たり前ですけどね。でもたぶん前だったら、楽しい雰囲気のとことか、ヒトがいっぱいいて買い物するとことか、ていう目線でしたけど、お店を始めて、ああ、ヒトがつながって成り立ってるんだなって思いました。

(つづきます)



cafe skratta

 

営業時間

 

平日

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CLOSE 19:00

 

土日

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定休日

木曜日

 

ホームページ

http://cafeskratta.com/

 

住所

東京都世田谷区南烏山6-4-7-2F



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