お絵描き屋RULAH
words & photographs by Nariya Esaki
「最初子どもの上履きをやっていて、子どもの靴とか。大人の靴にも、1個、自分で買って描いてみて、ネットに子どもの靴と大人の靴出してたら、大人の靴の方が反応良くって、だんだんそっちに。」
絵を本格的に学び始めたのは、専門学校に入った頃。でも卒業後は、高校からやっていたダンスにのめり込んで渡米。ダンサーになったのかと思うと・・・
「ニューヨークに行って、そのときにルームシェアしてた人がフラワーデザイナーだったんですよ。それで、たまたまちょっとお仕事の手伝いとかもさせてもらって、で、日本に帰って来て、急に花をやりたくなって、近くに花市場があるんですけど、出入りして、初めて自分でホームページを作って、花のフラワーデザインをやろうとして、ちょっとやってました。」
ダンサーを目指して渡米したはずが、まさかフラワーデザイナーになって帰って来るなんて、やっぱり人生なんて何があるか分からない。
「何か手に職が欲しかったんですよね。きっと。ものづくりがずっと好きなんですよ。でも何を作るかっていうところでずっと迷った人生を送っていて」
実際フラワーデザイナーをやめたあとも、「おばあちゃんになっても出来ることを何かひとつ身に付けたいなと思って」彫金のジュエリーの学校に通ったり、天然石のアクセサリーブランドを立ち上げたりしているものの、子どもが産まれたり、様々な理由で、決して長続きはしなかったのも事実。でもそんな子どもが出来たからこそ、スリッポンのアイディアが浮かんだのかもしれない。
「わたしは全然そんな親じゃないですけどね、意外と売れるからやってるんです(笑)何か自分で好きでやってても、売れないと、やらなくなるじゃないですか。売れる方がやっぱり作ってて嬉しいし。」
まるで商人。いや、ママだからこそ言える言葉かもしれない。好きだけじゃ出来ないのがママなのだ。それはちょっとLINEスタンプのもくもく母さんの愛すべき人間くささにもちょっと似ている気がする。あるいは彼女が産まれも育ちも板橋区。というのが関係しているのかもしれない。
「でもそのまちが好きで住んでるってわけでもないんです。実家があるから住んでるだけなんですけどね。」
いや、でもだからこそだと思う。専門学校に行ったり、ニューヨークに行ったりしていたら、なんだかもう少し気取ったり、背伸びしてたりしても不思議ではないのに、全くそんな感じがしないどころか、千歳烏山のfavoriさんで行われた初の個展に足を運んでみても、靴屋さんと見間違うお客さんがいるほど、そこには個展というよりも、商店の匂いが漂っていた。
「簡単に買えるようにしたいんですよ。だから庶民的なんです。何かアートって買いにくいじゃないですか。(値段も)高いし、敷居も高い、みたいな風にはなりたくなくて。誰でも、本当に誰でも買えるものにしたい。」
(おわり)
Special Thanks
箱店×小仕事カフェ
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